この記事の監修ドクター
自然療法医 ヴェロニカ・スコッツ先生
ブラジルのリオグランデドスル・カトリック大学認定の自然療法専門医。アメリカ、カナダ、ブラジルの3カ国で認定された国際免許を取得しており、専門医として自然由来のサプリメントに関する知識と精密な現代科学のデータを組み合わせて診断や治療を行っています。自身のフィットネスインストラクターとしての16年間の経験を活かし、多くの患者が抱える肉体的な問題だけでなく、精神的な問題も含めて、自然由来のサプリメントを用いた新しい“先見的な予防医学”にも注力しています。
関節炎とは?
関節炎とは、その名のとおり関節に炎症を起こした状態で、関節部分のあらゆる場所に起こります。おもにスポーツや肉体労働など、過度に関節に負担がかかったときに起こることが多くなっています。
そのほかには加齢によるもの、ウイルス感染によるもの、身体の一部分に対して起こる局所症状と、全身症状がありますが、一般的によくあるのは指、手首、足首、肘など一部に起こる局所症状です。
症状が進行すると、歩けないくらいの痛みに悩まされたり、関節部分が変形したり、歩行困難に陥ることもありますので、最初は我慢できる痛みだったとしても、放置すると生活に支障をきたすことにもなりかねません。
関節炎の種類
関節炎にもいくつかの種類がありますが、代表的なものは変形性膝関節症や関節リウマチです。日本は欧米と比べてあぐらや正座など、膝関節に負担をかけることが多くなっていますので、これらの病気になりやすいといわれています。
【関節リウマチ】
関節リウマチは身体中の関節が腫れて炎症を起こし、進行すると軟骨や骨を損傷して関節の機能が果たされなくなるために、関節が変形してしまう病気です。30〜50歳によく発症し、男性よりも女性のほうが多い傾向にあります。関節リウマチになる原因は不明とされています。
関節リウマチの痛みや腫れは、免疫に異常が生じ、誤って自分の組織や細胞に対して攻撃してしまうことにより起こると考えられています。これは発症後の早期の段階から始まるため、治療をせずに放っておくとどんどん骨が破壊されていくことになります。
早期に発見して治療を開始すれば、症状をコントロールして破壊を防ぐことができますので、関節の痛みがある場合は、早めに病院を受診しましょう。リウマチであれば、専門医のいる病院を受診することをおすすめします。
【半月板損傷(はんげつばんそんしょう)】
半月板とは、太ももの骨である大腿骨(だいたいこつ)と、すねの骨である脛骨(けいこつ)の間にある軟骨のことです。半月板は、膝にかかる負担を和らげるクッションのような働きがありますので、損傷すると痛みや引っかかりを感じることがあります。
あるいは、膝に異物があるような違和感を感じたり、膝に水がたまったり、ロッキングという急に膝が動かないなどの症状もあります。また、合併して靭帯の損傷が起こると、関節の安定性が悪くなり半月板に負担がかかります。
さらに変形性膝関節症へとつながる可能性がありますので、注意が必要です。スポーツなどで強く体重がかかったことにより起こる場合と、高齢者は加齢により起こる場合があります。
治療はまず抗炎症薬の処方やリハビリなどの保存的療法が行われますが、それで改善しない場合は、損傷した半月板を取り除くか、損傷した部分を縫い合わせる手術が必要になります。
関節炎は治ったと思っても、また激しい運動などで再度痛みがぶり返すことがあるため、なってしまった場合はしばらくの間安静にしておく必要があります。
【変形性膝関節症(へんけいせいひざかんせつしょう)】
変形性膝関節症は、事故などのけがで軟骨が損傷してしまったり、加齢などで軟骨がすり減ってしまうことにより起こります。軟骨は一度損傷してしまうと、回復するのが難しく、そのため痛みが次第に増していく傾向が強いです。O脚の人は骨同士が接触しやすくなるため、特に痛みを感じやすくなります。
加齢により起こる場合は、50〜60歳くらいから発症し始めます。男性より女性のほうがなりやすく、およそ1000万人ほどの人が変形性膝関節症を発症しているといわれています。女性のほうが多い理由としては、女性ホルモンの減少にあると考えられています。通常、女性ホルモンのエストロゲンは閉経後に急激に減少します。
エストロゲンは筋肉・骨・軟骨を健康に保つ役割がありますので、減少してしまうと変形性膝関節症になるリスクが上がることになります。また、女性は男性に比べると筋肉量が少なく、体脂肪率が高いことも原因になっています。日本人にはO脚が多く、O脚の人は変形性膝関節症になりやすいというのも原因の1つといえるでしょう。
変形性膝関節症の進行
関節炎がよく起こる部位は膝です。膝は人間の体重のほとんどを支えるため、負担がかかりやすい部分だからです。膝の関節の軟骨の質が低下してすり減っていき、歩くときなど足に負荷がかかってしまう症状をいいます。特に階段の上り下りなどや、正座をしたときに強い痛みが出るときなどは、変形性膝関節症の初期症状の可能性があります。
変形性膝関節症の症状は、時間をかけて進行していき、どんどん重くなっていきます。
【軽度】
軽度の段階では、膝が腫れる、痛みが出る、動かすとギシギシ鳴る、負担をかける動作がつらいなどの症状があらわれます。よくある症状は以下のようなものです。
- こわばる
- 動き始めるとき痛む
- 正座のときに痛む
- 立ち上がるときに痛む
この段階の治療は痛み止めの服用、湿布の処方、ヒアルロン酸の関節注射などにより行います。温熱療法や運動療法が用いられることもあります。
【中程度】
中程度では、軽度のときに起こっていた症状がさらに強くなり、日常生活に支障をきたし始めます。関節液という、たんぱく質やヒアルロン酸を含んだ液が膝にたまることがあります。
- こわばりがさらに強くなり、膝が動かしにくい
- 膝に関節液がたまる
- 正座がしにくくなる
- O脚になる
治療方法は初期の治療と同様に痛み止め、湿布の処方、関節注射です。その人の足に合った専用の膝サポーターを使うこともあります。
【重度】
重度になると関節の軟骨は、ほとんどまたはまったくない状態になります。この状態だと骨同士が直接こすれあうため痛みがひどく、変形が起こり、関節も硬くなります。
- 関節が硬くなり曲げられないほどになる(拘縮(こうしゅく))
- 歩けないほどの痛みがある
- 動かなくても痛い
- 歩くときに膝が横揺れする
この時期の治療方法としては、人工関節置換術などがあります。
膝関節の仕組みと関節炎の原因
膝の関節は、大腿骨と、脛骨、さらに膝蓋骨(しつがいこつ)という膝の皿から構成されている関節です。大腿骨と脛骨の継ぎ目には軟骨があり、体重がかかったりしたときや関節を動かしたときに衝撃を和らげるクッションの役割を果たしています。
大腿骨と脛骨が動くとき軟骨は摩擦を受けますので、スポーツなどで関節を酷使したときや、加齢に伴いすり減っていきます。クッションが薄くなっていくと、大腿骨と脛骨の間の衝撃がそのまま伝わり骨同士が接触して、こわばりや痛みを感じるようになります。一般的に関節炎は以上のように起こりますが、原因はこれだけではなくさまざまな要因があります。
膝の関節炎に効果的なサポーター
関節炎になってしまったら、病院を受診することが先決です。軽度のものであれば、できるだけ負担をかけないようにしておけば、自然治癒で治ります。普段から自分でできることとしては、脚にかかる負担をできるだけ減らすことですので、習慣などを見直すと良いでしょう。歩き方が悪い場合は膝に負担がかかっている可能性があります。
靴が合っていないために歩き方が悪くなっている可能性もありますので、体重が重い人は体重を減らすように努めることで、膝への負担を軽減できます。脚の筋肉を鍛えることでも負担を減らすことができます。
そのほかに、膝サポーターやテーピングも効果的です。これらのものはランニング、バスケットボールなどのスポーツや、登山などで負担を軽減する際にも効果的です。変形性膝関節症になっており、膝がぐらぐらと横揺れする場合などはサポーターが役に立つでしょう。
ただし、着けてみて楽になるようなら合っていますが、逆に痛みが増すようであれば逆効果ですのでやめたほうが良いでしょう。また、サポーターをしているとその周辺の筋肉があまり使われなくなります。一日中着用すると筋肉が衰えてしまいますので避けましょう。そして、サポーターは痛みを軽減するためのもので、治療の効果はないということを忘れてはいけません。
テーピングについては素人が見よう見まねでやるべきではありません。解説書を見るか、知識のある人に指導してもらうのが無難です。
関節炎を早く治すための食事や運動
食事が直接治療につながるとは感じられないかもしれませんが、長い目で見れば必要な栄養素を摂ることは効果的ですので、以下のような食材を毎日意識的に摂取していきましょう。
【コンドロイチン】
コンドロイチンは水溶性食物繊維の一種で、たんぱく質と結合して皮膚や関節、軟骨などを構成する効果があります。コンドロイチンは関節の軟骨の1/3を占めていますので、優先的に摂ると良いでしょう。加齢により生産力が低下するため、食品からの摂取が必要となります。ヒラメ、うなぎ、鶏の皮、フカヒレ、やまいも、なめこ、里芋、オクラ、納豆などのネバネバしたものによく含まれています。
【グルコサミン】
グルコサミンも軟骨の多くを構成している成分の1つです。加齢により合成力が低下していくため、食品から摂取する必要があります。グルコサミンが不足すると関節の変形が早く進行するため、こちらも摂取しておきたい栄養素です。キノコ類、オクラ、やまいも、干しエビなどに含まれます。
【たんぱく質】
たんぱく質は三大栄養素のひとつで、人の体を構成する重要な栄養素ですので、積極的に摂取していきましょう。コンドロイチンの働きを高めるためにも、たんぱく質を一緒に摂取することは効果的です。魚介類、肉類、乳製品、大豆などに多く含まれています。
このほかにも、血行を良くして関節の痛みを和らげるしょうがや、同じく血行を良くしてリウマチにも効果のあるよもぎ、鎮痛作用のあるとうがらしなどを摂り入れていくと良いでしょう。
運動に関しても、膝が痛いのに運動をするのは逆効果だと感じられるかもしれませんが、ある研究によると、ストレッチ、筋力トレーニングなどは効果的だとされています。特に肥満傾向にある人は、カロリー制限ダイエットと組み合わせることで体重減少につながり、膝への負担を減らすことができますので有効です。
犬の関節炎とは?
関節炎は人にだけ起こるものではなく、飼い犬にも起こることがよくあります。犬の関節炎は意外と多く、日本大学の調べによると、関節に関係なく病院に来た10歳以上の犬約500頭のうち、半分ほどに関節に何らかの問題があることが認められています。さらにその半分ほどの飼い主は犬の変形性関節症に気づいていなかったとのことです。
犬は本能的に自分が弱いということを敵に知られないために、痛みを隠す習性があります。人と違って表情もありませんので、痛みを感じていてもわかりません。これらのことから、犬の関節炎発見のために、普段から飼い犬の健康状態をよくチェックしておく必要があります。
一見わかりにくいですが、意識的によく観察していると何らかのサインに気づくことがあります。そのままにしておくと、人間のように変形性関節症に発展してしまうおそれもありますので、例えば以下のような症状が多く見られたら、病院に連れていき診察してもらいましょう。
- 走り回ることがほとんどなくなった
- 散歩に行くのを嫌がる、または行っても走らず歩くのみ
- 階段などの段差を嫌がる、または昇り降りが遅い
- 元気がない
- 伏せた状態から起きるのがつらそうに見える
- 寝ていることが多くなった、または少ない
- 歩きかたがおかしい
- 尻尾を下げていることが多い
犬の関節炎の原因として考えられるのは老化によるもの(原発性)と、ほかの犬との喧嘩や事故などの後遺症や、何らかの病気の合併症として発症するもの(続発性)の2つです。
治療は炎症を抑えるために、患部にできるだけ負担をかけないことがもっとも効果的です。そして、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)などを継続的に投薬することにより回復へと向かっていきます。痛そうなときだけ与えるのではなく、長期的・継続的に与えることが大切です。担当医師の指示を必ず守りましょう。
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まとめ
関節炎は急性のものを除き、放置しておくとどんどん進行していくことがあります。そのため関節の痛みが続くようであれば早めに病院を受診することが大切です。また、関節炎だとわかったら病院の治療に頼るだけではなく、関節痛に効果のある栄養を積極的に摂取していきましょう。早めの治療で病気の進行を食い止めることができます。